2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニューログロビンの細胞死抑制機構の解明と新規機能の探索
Project/Area Number |
09J10497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 征爾 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニューログロビン / フロチリン-1 / 脂質ラフト / メチル-β-シクロデキストリン / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究では、ヒト・ニューログロビン(HNgb)が脂質ラフトの主要な構成分子であるフロチリン-1と相互作用するという先行研究を踏まえ、脂質ラフトがHNgbの細胞死抑制に与える影響について検証を行った.まず、GSTプルダウンアッセイを用いてHNgbとフロチリン-1との相互作用の詳細な解析を行ったところ、酸化ストレス下のモデルである鉄三価型のHNgbにはフロチリン-1はよく結合する一方、通常環境下のモデルである鉄二価-一酸化炭素結合型のHNgbにはフロチリン-1はほとんど結合しないことが判明した.また、実際にHNgbが脂質ラフトへ局在するか、細胞から脂質ラフトを単離して検討した結果、HNgbは酸化ストレス下でのみ、脂質ラフトに局在することが明らかとなった.これらのことから、HNgbは酸化ストレス下でフロチリン-1と結合して脂質ラフトへと輸送されることが示唆された.更に、脂質ラフトがHNgbによる細胞死抑制に重要かどうか、コレステロールを除去することで脂質ラフトを解離させる働きのあるメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)を用いて検証した.その結果、MβCDの処理に伴ってHNgbの細胞死抑制能が完全に失われることが判明した.しかし、これはコレステロールを添加して脂質ラフトを再構成することによって解消された.従って、HNgbによる細胞死抑制には脂質ラフトが必須であることが明らかとなった.以上の結果から、HNgbは酸化ストレス下においてフロチリン-1との相互作用を介して脂質ラフトへ輸送され、細胞内シグナル伝達を制御して神経細胞死を抑制していると考えられた.
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Research Products
(6 results)