2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニューログロビンの細胞死抑制機構の解明と新規機能の探索
Project/Area Number |
09J10497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 征爾 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニューログロビン / 細胞膜貫通特性 / 酸化ストレス / 神経細胞保護 |
Research Abstract |
本年度の研究においては、まず、ヒトニューログロビン(HNgb)の立体構造変化が酸化ストレスによる細胞死の抑制に重要であることを示すため、64番目のヒスチジンをバリンに変異させたH64V HNgb変異体(H64V HNgb)、およびヘムを亜鉛-プロトポルフィリンIXに置換したZn置換HNgb(ZnHNgb)を作製した。これら立体構造変化のできないH64V HNgbとZnHNgbをタンパク質細胞内導入試薬Chariotを用いてPC12細胞に導入し、野生型HNgbと同様に酸化ストレスに伴う細胞死を抑制するかどうか検討した。その結果、H64V HNgb、ZnHNgbはともに細胞死をほとんど抑制せず、酸化ストレスに伴うHNgbの立体構造変化が細胞死の抑制に重要であると判明した。これよりHNgbは単に活性酸素種を除去しているのではなく、立体構造変化に伴ってシグナル伝達を変化させるセンサータンパク質として機能していることが強く示唆された。また、細胞膜貫通特性に重要なゼブラフィッシュニューログロビン(ZNgb)のモジュールM1のアミノ酸配列を、他の細胞膜貫通特性をもつタンパク質と比較した結果、ともに塩基性アミノ酸残基を多くもつことが判明した。そこで、ZNgbのモジュールM1における塩基性アミノ酸残基が細胞膜貫通特性に与える影響を調べるため、部位特異的変異を導入した変異体が野生型ZNgbと同様に細胞膜貫通特性をもつかどうか検討した。その結果、細胞膜貫通特性をほとんど、もしくは全て失った変異体を得ることに成功した。これより、ZNgbのモジュールM1における塩基性アミノ酸残基が細胞膜貫通特性に重要な役割を果たしていることが示された。
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Research Products
(6 results)