2010 Fiscal Year Annual Research Report
レジスタンストレーニングが脳機能に及ぼす影響に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
09J10498
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
水上 健一 東京医科大学, 医学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レジスタンストレーニング / 認知機能 / 脳由来神経栄養因子 / 自発運動 / 筋肥大 / モリス水迷路 |
Research Abstract |
レジスタンス運動が認知機能および神経系可塑性関連因子変動に及ぼす影響を検討した。 【目的】電磁負荷式回転ホイール付ケージを用いた自発的なレジスタンス走運動トレーニングが認知機能および神経系可塑性関連因子変動に及ぼす影響を検討すること。 【方法】マウス(C57B/L6J、8週齢、♂)を(1)1.5g/日の漸増負荷レジスタンスホイール運動群、(2)有酸素性ホイール運動群、(3)コントロール群に割り付け、運動期間は14日間に設定した。運動開始8日目からMorris水迷路試験にて学習・記憶に関する認知機能を評価した。運動期間終了後にヒラメ筋の湿重量を測定し、タンパク合成調節因子(mTOR、 p70s6k)の発現変動をWestern-blot法にて評価した。また、海馬の神経系可塑性関連因子(BDNF, CREB)の発現変動をReal-time PCR法およびWestern-blot法にて検討した。 【結果】各負荷強度における回転ホイール走行距離の変化のパターンには有意な差は認められなかった。ヒラメ筋の湿重量は(3)に比較して(1)(2)で有意に高値を示し,タンパク合成調整因子のリン酸化は(1)でのみ有意に高値を示した。水迷路は(1)(2)で有意に効果的に学習が進み,記憶試験も良好な結果を示した。BDNFおよびCREB mRNA・タンパク発現は(3)と比較して(1)(2)でいずれも有意に高値を示した。さらに、(2)ではBDNF発現量と平均仕事量の間に、(1)ではBDNF発現量とタンパク合成調節因子のリン酸化量の間にそれぞれ有意な正の相関関係がみとめられた。 【結論】2週間の自発的なレジスタンス運動は海馬のBDNF発現を増加させ,学習・記憶機能を向上させることから,認知機能に対して有用である可能性が示唆された.また、レジスタンス運動ではBDNF発現と仕事量との間に相関関係は認められず、タンパク合成調節因子のリン酸化との間にのみ相関関係が認められたことから、レジスタンス運動と有酸素性運動で可塑性関連因子調節のメカニズムが異なる可能性が示された。
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Research Products
(4 results)