2009 Fiscal Year Annual Research Report
小胞型ATPトランスポーターの構造・機能・生理的意義に関する研究
Project/Area Number |
09J10500
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
澤田 啓介 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小胞型ATPトランスポーター / ATPシグナリング / 開口放出 / 二価金属カチオン |
Research Abstract |
小胞型ATPトランスポーター(VNUT)はV-ATPaseが形成したH+の電気化学的ポテンシャルを駆動力としてATPを分泌小胞内に輸送するトランスポーターである。濃縮されたATPは開口放出によって細胞外へ放出され、シグナルを伝達する。したがって、VNUTはATPシグナリングに必要不可欠な因子であり、ATP分泌の強力な分子プローブになる。ATPシグナリングにおいて、ATPの分泌小胞への濃縮と分泌機構に関する研究は遅れているが、VNUTを中心とした研究によりこの領域の研究は進むものと考えた。我々はこれまでにATPの分泌が報告されている神経、アストロサイトの分泌小胞にVNUTが発現していることを間接蛍光抗体法、免疫電子顕微鏡法にて明らかにした。また、RNA干渉法によりVNUTは分泌小胞へのATPの濃縮を担っていることを示し、ATP分泌機構は開口放出であること明らかにした。さらにVNUTは分泌小胞への二価金属カチオンの濃縮を司っていることを明らかにした。ATPが濃縮されている分泌小胞には二価金属カチオンが数十mM含まれているが、その輸送機構はほとんどわかっていなかった。我々はVNUTがMg-ATP、Ca-ATP複合体を輸送しており、二価金属カチオントランスポーターとしても機能していることを示した。現在はATP輸送の分子機構の解明をテーマとしている。ATP輸送に必須であるアミノ酸残基の特定に向けて、変異型トランスポーターの性状の解析を進めている。
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Research Products
(2 results)