2009 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性ヘテロ分子構築のための異種ヘテロ原子複合導入法の創生
Project/Area Number |
09J10516
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川口 真一 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 異種ヘテロ原子 / リン / セレン / 15族ヘテロ原子 / 16族ヘテロ原子 / 複合導入法 / 遷移金属触媒反応 / 光誘起ラジカル反応 |
Research Abstract |
本研究では、電子材料、光学材料、高分子材料などの機能性物質に導入されるP、S、Seといったヘテロ元素を含む化合物を精密かつ自在に合成できる高効率、高選択的な手法の開発を目指している。本年度は研究計画に従い、15族および16族ヘテロ元素複合系を用いた新規付加反応の開発を目的として、光照射条件下で15族ヘテロ元素化合物であるテトラフェニルジホスフィン、また16族ヘテロ元素化合物であるジフェニルジセレニド、ジフェニルジテルドの複合系について検討した。種々の反応を行った結果、これら設計した複合系は良好に反応が進行し、選択的に、リンーセレン、またはリンーテルルが同時に導入された化合物を得ることに成功した。さらに各反応生成物の分子構造について、X線結晶構造解析によって詳細に調べたところ、リンーイオウ、リンーセレンの複合系における位置選択性と、リンーテルル複合系における位置選択性が逆転する現象を明らかにした。このような比較検討例はこれまで報告されておらず、元素の特性に基づく高選択的反応が進行した結果と考えられる。 このような興味深い研究結果が得られたことから、他の原子複合系への展開を試みた。その中で、分子状ヨウ素ーヒドロホスフィンの複合系について本手法を適用した結果、アセチレン類へのヒドロヨウ素化反応が位置選択的に進行することを見出した。ビニルヨージドは有用な合成中間体であり、クロスカップリング反応などを用いて、各種ビニル化合物に変換することが可能であるが、位置選択性については、ヨウ化水素のアセチレンへの直接的な付加反応が困難なことから、高選択的な合成法は限定されている。従って、多様な合成化合物の創生の観点において、本手法はビニルヨージドの位置及び立体選択的な合成法の新手法として大いに期待される。次年度はこれらの研究成果をベースに触媒反応への展開を試みる。
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Research Products
(10 results)