2009 Fiscal Year Annual Research Report
高次機能触媒の開発を基盤とした触媒的不斉タンデム反応による連続不斉点構築法の確立
Project/Area Number |
09J10524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雄太 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触媒的不斉反応 / 不斉4級炭素 |
Research Abstract |
本研究の目的は小分子中に高密度に集中する不斉中心をいかに構築するかという問題に対して、一般性の高い答えを出すこと、であった。交付申請書にあるように、当初、触媒的不斉タンデム反応による連続する不斉中心の一挙構築を目指した。しかし、一方で単一の不斉中心を構築する反応においても、未だに解決されていない問題が多く存在する。その中でも、不斉4級炭素中心の構築法の確立は重要かつ困難な課題である。そこで、まず、現在までにわれわれが開発した、β-一置換エノンに対する触媒的不斉シアノ共役付加反応を発展させ、4級不斉炭素構築型のβ-二置換カルボニル化合物に対する触媒的不斉シアノ共役付加反応の開発を目指し、新規配位子の開発を中心に検討を行った。その結果、ストロンチウムイソプロポキシドと新規配位子からなる触媒によつて、β-二置換エノンに対して、目的とする反応が円滑に進行うることを見出した。さらに、本反応条件は非常に一般性広く、β-二置換α,β-不飽和カルボン酸誘導体を含む、様々な基質に対して適応可能であることがわかった。また、用いる触媒量を低減化させることにも成功しており、今後工業的に応用することを考えた場合、望ましい特徴を備えているといえる。本研究は、未だに報告例の少ない4級不斉炭素構築型触媒的不斉反応の一般性の高い例であり、今後、高密度に集中する不斉中心を構築する上で、重要な足がかりとなる研究いえる。
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