2009 Fiscal Year Annual Research Report
スウェーデン外交の「連続性」について -「積極的外交政策」の抑揚に着目して-
Project/Area Number |
09J10611
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 謙 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | スウェーデン / 外交史 / 積極的外交政策 / 国際関係論 / 政治史 / 移民政策 / 人種生物学 |
Research Abstract |
本報告者は交付申請書に記載した通り、修士学位論文である『冷戦後のスウェーデンの外交および安全保障政策-移民の安全保障化の視点から-』の中の歴史的叙述部分にあたる前半部をリヴァイズして、査読を経た上で学術雑誌『北欧史研究』26号(2009年9月発行)に研究ノートとして「第二次世界大戦後のスウェーデンの移民政策の原点と変遷-『人種生物学』への反省と『積極的外交政策』の形成過程から-」を発表し、これまでの研究成果をまとめた。この「人種生物学」は現在スウェーデン本国でも注目を浴び始めているテーマであるが、それをスウェーデンの外交政策と結びつけて論じる研究はスウェーデン本国でも非常に希有であり、報告者のオリジナリティをいち早く我が国で提示することができたことは今後の研究への重要な貢献となろう。また同時に同誌に資料紹介として「スウェーデンの2009年外交方針宣言について一解説と考察一」も発表し、2009年のスウェーデンの外交政策の方針を報告者のこれまでの研究成果を交えて解説し、今後の展望などを考察した。さらには明石書店より2009年に出版された一般向けの図書である『スウェーデンを知るための60章』(2009年5月刊行)の中で、スウェーデン第二の都市である「ユーテボリ」を紹介する章に加え、一般向けにスウェーデンの外交政策を解説した「積極的外交政策の系譜」を執筆し、報告者の研究成果を一般向けにも還元している。その一環として、2009年6月15日には「北欧文化協会」で、さらには2010年3月30日31日の両日にスウェーデン大使館で報告者の研究成果を基に一般向けに講演したことも、情報発信として重要かつ貴重な機会であった。 博士論文執筆については以上の研究成果を踏まえて2010年3月にスウェーデン等に赴き、国立公文書館でスウェーデンの対ソ連外交に関する各種の事件の外交文書を可能な限り複写するなど一次史料を精力的に収集し、現在精査を行っているところである。
|
Research Products
(3 results)