2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10620
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀金 哲雄 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超弦理論 / AdS / CFT / AdS / RR-flux |
Research Abstract |
AdS/CFT対応とは、Anti-de-Sitter空間と呼ばれる曲がった時空中の弦理論と、共形不変性をもった量子場の理論とが、強/弱結合対応するという驚くべき予想である。この予想を精密に検証し、弦理論の深い性質としてその機構を理解すべく、AdS時空中の弦理論を解析するのが本研究の目的である。特に、典型例であるAdS_5×S^5時空中の弦の運動を量子化し、そのスペクトルを求めることを当面の目標としている。しかし時空が曲がっていることと、RR-fluxが入っていることから、この系を厳密に量子化しその対角化問題を解析する有効な手法が今現在、存在しない。私は風間氏との共同研究で、この系がpsu(2,2|4)とう高い超対称性を持ち、特にハミルトニアンがその一部に含まれていることに注目した。そして表現論を十分に活用するという新しい視点からこの問題の解決に迫ろうとしている。本年度は、実施計画に沿って、弦のモードの一部である粒子の運動を前述の視点から解析した。具体的には、表現論という代数構造を活用するため、まず系の運動を位相空間内で定式化することを行った。我々はAdS-5×S^5を含むコセット型で表せる時空の場合にディラック括弧等を計算をする公式を導出した。量子化は正準量子化で行った。対角化問題はハミルトニアンがpsu(2,2|4)代数の一部に含まれるため、実は、構成したヒルベルト空間中に存在するpsu(2,2|4)多重項を求めることに帰着する。この際我々は、代数の生成子の具体形が可能な表現を統御するという視点で解析を行った。特にこの系では生成子の積に関して非自明な等式が成立することを示し、これがS^5方向の波動関数の配位を著しく制限することを発見した。この事実を用いることですべてのスペクトルと波動関数を厳密に決定することに成功した。我々の手法は作用をもとにした第一原理的なものであるため、弦の場合にも拡張可能な点が新しく、かつ重要な点だと考えている。
|
Research Products
(2 results)