2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10624
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久方 瑠美 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 錯視 / 運動視 / 知覚心理学 |
Research Abstract |
本年度は、視野安定および物体の定位に関連する錯視として「運動による位置ずれ」錯視と、輪郭運動および眼球運動との関係を実験的に検討した。「運動による位置ずれ」とは、ぼやけた静止輪郭内に運動するもの(例えば正弦波)が存在する場合、静止輪郭が内部の運動方向へずれて知覚される現象である。従来の研究では、静止している輪郭へ内部正弦波の運動がどう影響するかについて調べられて来た。そこで本研究では、輪郭自体も内部正弦波と独立に運動する場合において「運動による位置ずれ」がどのように発生するのかを調べるために実験を行った。その結果、輪郭自体が運動していてもそれに関係なく、輪郭の位置ずれは内部正弦波の運動方向へ発生することが明らかになった。さらに、網膜上において刺激の輪郭が内部正弦波と逆方向に運動している場合に、位置ずれ量が大きくなる非対称性が明らかになった。この実験結果から、網膜上の運動情報が「運動による位置ずれ」に重要であることを示している。今後、この実験結果をふまえて、どのような種類の運動が運動による位置ずれに重要であるか検討していくことができるだろう。
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