2010 Fiscal Year Annual Research Report
モノカルボン酸トランスポーター(MCT)を中心とした乳酸代謝に関する研究
Project/Area Number |
09J10637
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北岡 祐 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳酸 / モノカルボン酸輸送担体 / トレーニング |
Research Abstract |
サラブレッドを用い、以前行った7週間のトレーニング実験(100% maximal oxygen consumption(VO_<2max>)for 1-2 min,2-3 days week^<-1>)ではMCT1およびMCT4タンパク質量に変化がみられなかったことから、今回は18週間の高強度トレーニング(90-110% VO_<2max>for 3 min,5 days week^<-1>)を行った。また、その後の6週間において、中強度(70% VO_<2max>for 3 min,5 days week^<-1>)に強度を落としてトレーニングを継続した群とトレーニングを休止した群の2群に分け、脱トレーニングによる変化も検討した。その結果、高強度トレーニングによってMCT1、MCT4タンパク質量が増加すること、および、その後の中強度トレーニングによって増加したMCT1が維持されるのに対し、MCT4は維持できないことが明らかとなった。また、トレーニング・脱トレーニング期間を通してMCT1とミトコンドリアの酸化能力との間に有意な相関関係がみられた。さらに、MCT4タンパク質量と高強度運動時の血漿乳酸濃度の増加との間にも有意な相関関係がみられた。したがって、運動中に産生された乳酸はMCT1によって取り込まれてミトコンドリアで酸化されること、また、特に高強度運動中に産生された乳酸はMCT4によって細胞外へと放出されることが示唆された。また、マウスにおける代償性筋肥大モデルを用い、MCT1、MCT4タンパク質量の変化を検討する実験を行った。その結果、足底筋の肥大にともない、MCT1、MCT4のmRNA発現およびタンパク質量が有意に増加することが明らかとなった。以上の2つの実験から、特にMCT4を増加させるためには、骨格筋への強い収縮刺激が必要であることが示唆された。
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