2011 Fiscal Year Annual Research Report
浸透圧ストレス応答における新規リン酸化酵素ASK3の活性化機構と生理機能の解析
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09J10645
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 順一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ストレス応答性MAPK / ASK3 / WNK4 |
Research Abstract |
With No lysine[K]4(WNK4)は,偽性低アルドステロン症II型(Pseudohypoaldosteronism typeII;PHAII)という遺伝性高血圧症の原因遺伝子として同定され,様々なイオンチャネルやイオントランスポータの機能を制御することが知られているプロテインキナーゼである。しかしながら,WNK4自体の機能制御機構は殆ど明らかにされていない。 Apoptosis signal-regulating kinase 3(ASK3)は,JNK経路およびp38MAPK経路の上流であるMAP3Kに属し,ASK1と高い相同性を有する新規プロテインキナーゼであるが,ASK3が担うシグナル伝達とその生理機能は未だ不明である。我々は酵母ツーハイブリッド法により,ASK3の結合分子としてWNK4を同定したことから,ASK3によるWNK4の機能制御の可能性を考え解析を行った。 本研究において,WNK4におけるASK3-p38MAPK-MK経路依存的な新規リン酸化部位としてS575を同定し,そのリン酸化がWNK4のキナーゼ活性制御に関与することを見出した。また,先行研究での過剰発現系による解析からNCCタンパク量の負の制御因子であると考えられてきたWNK4が,腎臓遠位曲尿細管細胞においてNCCタンパク量を正に制御することを見出した。WNK4のキナーゼ活性制御機構はこれまで殆ど明らかになっておらず,活性制御に関与するリン酸化部位であるS575を同定したことはWNK4キナーゼ活性制御機構の解明において重要な知見であると考えられる。また,WNK4が実際に機能する場である遠位曲尿細管細胞においてNCCタンパク量を正に制御することを見出したことは,これまでWNK4をNCCの負の制御因子として捉えてきたWNK4研究に一石を投じ,より正確なWNK4の機能の理解に繋がる重要な知見であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
WNK4やその下流で制御されるNCCを内在性に発現する細胞株mpkDCTを見出したことにより,ASK3のWNK4-NCC経路に対する影響を培養細胞レベルで解析することが可能になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
S575リン酸化がどのようにWNK4の活性を制御するのか,WNK4がどのようにNCCタンパク量を制御するのかについては未だ不明であり,今後はこれらの点に対して生化学的手法や分子細胞生物学的手法を用い詳細な解析を行なっていく予定である。
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Research Products
(2 results)