2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10693
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Research Institution | Koyasan University |
Principal Investigator |
神田 英昭 Koyasan University, 大学院・文学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 南方熊楠 / 土宜法龍 / 往復書簡 / 近代仏教 / 近代日本宗教学 |
Research Abstract |
研究実施計画に沿って、2004年に栂尾山高山寺で発見された南方熊楠から土宜法龍に宛てられた新発見の書翰を出版すべく、奥山直司氏(高野山大学教授)、雲藤等氏(早稲田大学博士課程)と共に原文から翻刻・校訂し、その翻刻原稿に注を付す作業を遂行した。その成果は2010年3月に、奥山直司・雲藤等・神田英昭編『高山寺蔵 南方熊楠宛書翰-土宜法龍宛1893-1922』(藤原書店)として結実した(下記第1図書)。本書に収録された南方熊楠から土宜法龍に宛てられた書翰は全部で43通である。今までに知られていた熊楠から法龍に宛てた書翰は全部で29通であるから、それよりも2倍近い量の書翰が新たに紹介されたことになる。本書の刊行後、マスコミによる反響は大きなものであった。書評等に本書を取り上げたメディアは、読売新聞、産経新聞、中外日報、高野山時報であった。このことから本書は、熊楠の思想研究における資料として重要な意義を有すると考えられる。その他に熊楠の研究に関する基礎研究として、植物学における高弟である小畔四郎との往復書簡の編纂グループに加わり、2009年6月に刊行した(下記第2図書)。 また編集作業から得た知見をもとに、密教研究会学術大会(高野山大学)、仏教から見た前近代と近代(国際日本文化研究センター)において研究発表並びにコメント発言を行った。 研究論文では、熊楠が真言密教のマンダラの思想をどのように吸収していったのか、上述の新出資料の解読による成果を踏まえて考察し、『高野山大学大学院紀要』に寄稿した。(下記第1論文) そして熊楠と法龍の往復書簡を多角的に分析する方法論を学ぶため、他の研究機関との積極的な学術交流を行った。その活動の第一に拳げられるのは、国際日本文化研究センター特別共同利用研究員制度を利用し、同センター准教授、磯前順一氏のもとで研究指導を受けたことである。その研究指導は、主に同志社大学、立命館大学、国際日本文化研究センターにおいて行われ、主に宗教学の理論的枠組みについて学んだ。その成果は、平成22年度に国際日本文化研究センター共同研究員として採用されることに連なる。
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Research Products
(5 results)