2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10700
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
観山 正道 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非平衡定常系 / 非平衡ソフトマター / 剪断流下のコロイド分散系 / 秩序-無秩序相転移 / レオロジー / 結晶核生成 / 欠陥動力学 / Brown動力学法数値計算 |
Research Abstract |
剪断流下のコロイド分散系について、その秩序・無秩序相転移を剪断応力などの基本的な量で特徴付けることはできないか、と考え、まず、本系のレオロジー特性、すなわち、剪断率と剪断応力の関係について、数値実験により調べた。結晶性秩序が非平衡条件下で発現する本系でのレオロジー特性は同様に、Newton流体的振る舞いから比べて、きわめて特異的な剪断率への応答を示すはずである。実際、得られた結果は明確なずれを示しており、この結果は次に挙げる2点が注目に値する。 まず第一に、ある特徴的な剪断率を境にNewton流体的振る舞い(高剪断側)とそこからずれていく様子(低剪断側)が観測される。強い剪断は秩序を破壊させること自体は明らかであるが、その特徴的な剪断率が数値実験により定量化された。これを元に、密度と剪断率を軸とする非平衡相図を作成でき、その結果、特徴的な剪断率の密度依存性は(ρ-ρc)^<1.5>というべき的な依存の仕方をすることが得られた。ここで、ρcは平衡条件下における相転移密度である。すなわち、非平衡度が有限の領域から平衡相転移点に向けて、非平衡度を0にする極限を取ったときに、ある種の臨界性の発現があるということをこの結果は示唆しており、これは非常に重要な結果である。さらに、この剪断率0極限において、秩序変数の時系列データの緩和時間は増大傾向を示し、さらにDFA(Detrended Fluctuation Analysis)などの時系列解析手法によれば、1/f的な揺らぎの成長の存在を認めることができた。 第二に、剪断率-剪断応力の関係の剪断率0付近の振る舞いに着目すると、剪断応力が一定値に向かう様子が観測される。すなわち、既存のデータに依れば、降伏応力の発現を示唆している。これはガラス系においても一般的に見られる現象であり、その起源の関係性をより深く理解したい。そのメカニズムはミクロな欠陥の動力学に大きく関係しているものと思われる。この点においては、さらなる研究の続行が必要である。
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