2010 Fiscal Year Annual Research Report
胆汁形成におけるMDR3/ABCB4と新規共役因子RACK1の相互作用の解析
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09J10709
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池淵 祐樹 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RACK1 / ABC蛋白質 / 細胞内局在 / 蛋白質発現量 / 胆汁組成 |
Research Abstract |
RACK1による制御の選択性が直接的な結合によるか否かを確かめるために、ABCB4とその類縁分子であるABCB1/11の細胞内リンカー領域を組み替えたキメラ体を作出した。酵母Two-hybrid法、GSTプルダウン法ではABCB1/11の細胞内リンカー領域とRACK1には相互作用は認められなかった。各キメラ体をHeLa細胞に一過性に導入した際に、通常時は野生型と同様に細胞膜上への局在が観察された一方で、siRNAにより内在性RACK1の発現を抑制した条件下での局在変化が細胞内リンカー領域と対応するように入れ替わる様子が観察された。すなわち、ABCB4-ABCB1/11 Linker体ではRACK1の発現抑制による局在変動が消失した一方で、ABCB1/11-ABCB4 Linker体では細胞膜上での発現が減少した。また、この際の蛋白質発現量は細胞内リンカー領域の影響を受けず、ABCB4のみがRACK1の発現抑制に伴う合成量の低下が見られた。これらのことから、少なくともABCB1/4/11においては、RACK1による局在制御は細胞内リンカー領域への直接的な結合が、発現量制御はそれ以外の作用が関わっているものと考えられた。 また、マウスRack1に対するshRNA配列を組み込んだアデノウィルスをマウスに投与することで、肝臓選択的なRack1の遺伝子抑制を行った。in vitroでの解析と同様の選択性がABC蛋白質の局在・発現量において見られ、Abcb4の発現量は50%程度まで低下した。この際の胆汁中の組成を精査したところ、Abcb4選択的な基質であるリン脂質濃度はRack1ノックダウンにより有意に変化しなかったが、これはAbcb4のヘテロ欠失と一致する結果だと考えられる。今後さらなる解析を行うことで、RACK1のマスター制御因子としての可能性を明らかにするものと期待される。
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