2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜脂肪酸環境の感知機構および恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
09J10724
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 祐介 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 線虫 / 高度不飽和脂酸(PUFA) / 生体膜脂肪酸環境 / MAPK経路 / 生体膜環境センサー / Na+チャネル / Na+/H+交換輸送体 |
Research Abstract |
生体膜環境センサーの同定 これまで、線虫の高度不飽和脂肪酸(PUFA)欠乏による生体膜脂肪酸環境変化時の遺伝子発現誘導に関わるシグナル経路として、一連のMAPK経路構成分子を同定していた。このうち、MAP2Kについて恒常活性化型のコンストラクトを作製・導入し、実隙に線虫生体内で恒常的に活性化する事が碓認できていた。そこで、これを利用し、昨年度行なった1次スクリーニングで挙がってきた105の候補遺伝子について、MAPK経路の上流・下流のどちらで機能しているかを明らかにするための2次スクリーニングの実験系を構築し、スクリーニングを行なった。その結果、上流で機能している可能性の高い膜貫通型タンパク質(生体膜環境センサーの最有力候補分子)として、Na+チャネル、およびNa+/H+交換輸送体が挙がってきた。これらは、下等動物から哺乳動物まで広く保存されている。現在、これらがどのように生体膜環境を感知し、MAPK経路を活性化しているのかについて、解析中である。 生体膜脂肪酸環境の恒常性維持機構の解明 これまでに、PUFA欠乏下でMAP3Kを欠損すると、胚致死性の表現型が増強する事が分かっていた。PUFA欠乏下でのMAPK経路活性化の生理的意義を明らかにするため、このとき、それ以外にどのような表現型を示すかを調べた。その結果、見た目の表現型(成長速度、動きや形態の異常など)に変化は見られず、PUEA欠乏下で見られる表現型(上皮組織の形成異常など)のMAPK分子の欠損による増強も認められなかった。現在、MAPK経路が特に活性化していることが判明している、上皮組織・腸における表現型解析を進行中である。また、当研究室ではPUEA欠乏状態で発現抑制すると著しい異常を示す遺伝子を多数同定しており、これらの分子が膜環境センサー下流のシグナルにより制御されているかどうかを解析中である。
|
Research Products
(1 results)