2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10728
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江間 有沙 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 技術の社会的影響 / 信頼 / 安全 / プライバシー / 監視 |
Research Abstract |
本研究は、人に関する情報の可視化技術(たとえば、ICタグ技術による「行動・経路の可視化」など)を推進・実用化していくにあたって、どのような「信頼」が重要であるかを明らかにすることを目的としている。可視化技術の情報セキュリティの問題や、可視化することによって生じるプライバシーの問題などの懸念があるが、IT政策など国家的な支援のもとで推進されている技術であるため、明らかな「不信」が形成されていない現段階での技術に対する「信頼」のあり方を考察することが必要である。初年度の12月までは(1)ユーザーの可視化技術に対する「信頼」調査として、子供にICタグを持たせて位置情報や文脈情報を収集する技術を中心事例としてまとめた。ユーザーが技術を「信頼」するための要因は一意ではなく、文脈や関係性などの要素が重要になってくることが示唆された。ユーザーは技術に対し、それぞれ独自のルールや使い方をして、「信頼」に足るかどうかを技術・制度などの観点から多面的に吟味している姿勢が見られた。以上の結果はアンケート調査結果から示唆されていたものであるが、具体的にどのように利用しているかなどは、参与観察やインタビューなどの手法が有効と考えられる。そのため、8月より科学技術社会論のカリキュラムが充実しているコーネル大学へ留学し、情報技術の社会的影響の調査法として、エンドユーザーや技術開発者に対するエスノグラフィ調査の手法を学んだ。情報技術の利用者に対する意識調査は本研究の土台となるものであり、手法を実践的に学べたのは、今後の調査を進めていく上でも重要となる。22年度1月からは(2)政策決定者が想定している「信頼」される可視化技術のあり方についての情報収集を行っている。
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Research Products
(1 results)