2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10728
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江間 有沙 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 技術の社会的影響 / 信頼 / 安全 / プライバシー / 監視 / セキュリティ |
Research Abstract |
本研究は、人に関する情報の可視化技術(たとえば、ICタグ技術による「行動・経路の可視化」、インターネット履歴等によるマイニング技術での「志向の可視化」など)を推進・実用化していくにあたって、「信頼」をキーワードに分析することを目的としている。可視化技術には、情報セキュリティの問題や、可視化することによって生じるプライバシーの問題などがあるが、IT政策など国家的な支援のもとで「安全」「安心」のため推進されている技術でもあり、明らかな「不信」が形成されていない現段階での、技術に対する「信頼」のあり方を考察することが必要である。昨年度は情報政策や情報インフラ設計者の考える「信頼」される可視化技術を考えるうえで、そもそも前提となっている考え方を分析するため、既存の理論的研究を整理した。 情報を可視化するうえで、プライバシーや情報セキュリティの問題を考慮しつつ「信頼」される技術やシステムを作り上げていくためには、機密性、完全性、可用性のバランスを取りながら確保することが重要とされる。ここで前提とされているのは、情報がデータ化、可視化されているのであれば、その情報に嘘偽りはなく、また偽りがないように収集される努力がされているということである。つまり、情報政策の方針としては、曖昧性のない情報インフラを推進すること、そしてその情報にアクセスする人の選別・境界を的確に設定することが、可視化技術の「信頼」性を保つものであるとされている。しかし、本研究では、このようにして構築した「信頼」できる技術が、機密性、完全性、可用性が脅かされた場合、一気に「信頼」を失うという点を鑑み、逆に情報の曖昧性を許容していることが、プライバシーを保護することになったり、可視化情報を利用している人々の間での「信頼」関係を損ねないような仕組みになったりしていることに着目し、この枠組みで最終年度の調査を予定している。
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Research Products
(4 results)