2009 Fiscal Year Annual Research Report
γ-secretaseの構造活性相関の解明に基づく機能制御法の開発
Project/Area Number |
09J10747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 穏香 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | γ-secretase / アルツハイマー病 / 膜タンパク質 / 分子細胞生物学 / 膜内配列プロテアーゼ / 構造活性相関 |
Research Abstract |
アルツハイマー病発症に重要であると考えられているアミロイドβ蛋白の産生に関わるγ-secretaseは、アルツハイマー病の重要な創薬標的分子である。特に治療用開発の上では基質特異的なγ-secretase活性制御法開発が求められている。これまでにγ-secretaseの活性中心サブユニットであるプレセニリン(PS)1に基質認識機構が存在することが明らかとなっており、本研究においてはPS1の基質認識機構について、その構造との関連において明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。まず、PS1のtransmembrane domain 1(TMD1)周辺の構造に関してシステインケミストリーを利用した構造生物学的解析法であるSCAMによる解析を行った。これまでの解析から、TMD1が85-99番目のアミノ酸配列に相当するものと思われてきたが、新たな試薬を用いた解析より、TMD1が78-99番目の配列に相当し、直接活性中心ポア構造に面していること、TMD1のN末端側(78-84)は開いた親水性環境に存在することが示唆された。次にPS1のHydrophilic loop 1(HL1)の構造に関してSCAMによる解析を行った。その結果、HL1の一部がヘリックス構造を取っていることが予測された。そこで、ヘリックスを壊すアミノ酸であるプロリンを導入した変異体を作製したところ、ドミナントネガティブ変異体となった。しかしこのプロリン変異型PS1は、野生型PS1と同様に安定な高分子量γ-secretase複合体を形成し、細胞表面まで輸送される一方で、in vitro反応系において活性を失っていることが確認された。すなわち、このプロリン変異型PS1は切断プロセスにおいて何らかの機能を失っていることが予測された。そこで各種γ-secretase阻害剤を基に合成された各種プローブを用いた光親和性標識実験を行ったところ、基質認識機構を標的とするヘリックスペプチド型阻害剤とプロリン変異型PS1との結合は見られない一方で、活性中心構造を標的とする遷移状態模倣型阻害剤とは結合した。すなわち、プロリン変異型PS1では活性中心構造は保たれつつ基質結合部位の構造が変化していると予想された。
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Research Products
(3 results)