2010 Fiscal Year Annual Research Report
γ-secretaseの構造活性相関の解明に基づく機能制御法の開発
Project/Area Number |
09J10747
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 穏香 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | γ-secretase / アルツハイマー病 / 膜タンパク質 / 分子細胞生物学 / 膜内配列プロテアーゼ / 構造活性相関 |
Research Abstract |
アルツハイマー病発症に重要であると考えられているアミロイドβ蛋白の産生に関わるγ-secretaseは、アルツハイマー病の重要な創薬標的分子である。特に治療用開発の上では基質特異的なγ-secretase活性制御法開発が求められている。これまでにγ-secretaseの活性中心サブユニットであるプレセニリン(PS)1に基質認識機構が存在することが明らかとなっており、本研究においてはPS1の基質認識機構について、その構造との関連において明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。まず、PS1のtransmembrane domain 1(TMD1)周辺の構造に関してシステインケミストリーを利用した構造生物学的解析法であるSCAMによる解析を行った。これまでの解析から、TMD1が78-99番目の配列に相当し、直接活性中心ポア構造に面していること、82、85番目のアミノ酸が、基質認識に重要であるサブサイト部位の一部であることを示してきた。当該年度においては新たな阻害剤を用いた解析により、基質がPS1に結合することによりTMD1は細胞質側へ動くことを見出し、γ-secretaseのダイナミックな構造変化を世界で初めて示すことに成功した。また様々な基質を用いた変異体の活性評価により、86番目のアミノ酸が基質選択性に重要であることを示した。この情報は、基質特異的なγ-secretase活性制御法開発にあたって大変価値あるものである。また、これまでにPS1のHydrophilic loop 1(HL1)の構造に関するSCAMによる解析結果からHL1の一部がα-helix構造をとり、その構造が基質結合部位形成に関与することを示してきた。そこでHL1ペプチドのCDスペクトルを測定したところ、α-helix構造のスペクトルを得ることができ、物理化学的にもHL1がα-helix構造を取り得ることを証明できた。さらにPS1のTMD2についてSCAMによる解析を進めた結果、TMD2は疎水的環境にある古典的な膜貫通部位であることが分かった。また阻害剤を用いた解析により、TMD2は基質が結合することにより傾くことを示した。
|
Research Products
(6 results)