2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトールの特異的脂肪酸組成の生物学的意義の解明
Project/Area Number |
09J10758
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 真治 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホスファチジルイノシトール / アラキドン酸 / 脂肪酸転移酵素 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール(PI)は、イノシトール環のリン酸化によりPI結合タンパク質を時空間的に制御し、細胞の増殖、遊走、細胞骨格制御、小胞輸送など様々な生命現象に関与するリン脂質である。生体膜を構成するリン脂質の中でも、PIは極性基の特性のみならず、脂肪酸鎖についても特徴的な構造を持つことが知られており、sn-1位にステアリン酸(18:0)、sn-2位にアラキドン酸(20:4)を持った分子種がほとんどを占めている。我々は最近、PIの特徴的な脂肪酸組成を規定する分子として、PIのsn-2位にアラキドン酸を導入する脂肪酸転移酵素mboa-7/LPIATを同定した。本研究の目的は、PIにおける特徴的な脂肪酸分子種の生物学的意義をLPIAT欠損個体およびLPIAT欠損細胞を用いて解明することである。 21年度において、LPIAT欠損マウスの臓器の組織切片を作成し、形態観察を行ったところ、大脳皮質及び海馬の層が萎縮している事を見出していた。そこで、22年度において、まずLPIAT欠損マウスのE15.5における新生神経細胞数を調べたが、顕著な差は見られなかった。次に、E14.5の脳においてTUNEL assayを行なったところ、LPIAT欠損マウスの大脳皮質及び海馬において、アポトーシスが亢進している事が分かった。この結果から、LPIAT欠損胎児マウスの脳において、神経細胞のアポトーシスが亢進した結果、細胞数が減少し、萎縮が生じたものと考えられる。
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Research Products
(3 results)