2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトールの特異的脂肪酸組成の生物学的意義の解明
Project/Area Number |
09J10758
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 真治 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホスファチジルイノシトール / アラキドン酸 / 脂肪酸転移酵素 |
Research Abstract |
生体膜を構成するリン脂質の中でも、PIは極性基の特性のみならず、脂肪酸鎖についても特徴的な構造を持つことが知られており、sn-1位にステアリン酸(18:0)、sn-2位にアラキドン酸(20:4)を持った分子種がほとんどを占めている。我々は最近、PIの特徴的な脂肪酸組成を規定する分子として、PIのsn-2位にアラキドン酸を導入する脂肪酸転移酵素mboa-7/LPIATを同定した。本研究の目的は、PIにおける特徴的な脂肪酸分子種の生物学的意義をLPIAT欠損個体およびLPIAT欠損細胞を用いて解明することである。 23年度において、PIの脂肪酸分子種の生物学的意義を分子レベルで明らかにする事を目的とし、遺伝学的解析が容易なモデル生物である線虫C.elegansを用いた解析を行った。まず、不飽和脂肪酸が欠乏した線虫でみられる表現型が、どのリン脂質のどの不飽和脂肪酸によるかという事を、mboa-7(LPIAT)の変異体を利用して調べた結果、PI中の高度不飽和脂肪酸(PUFA)が欠乏する事により、上皮細胞の形態異常及び、アクチン骨格の異常が起こる事を見出し、PIPs代謝酵素を対象としたRNAiスクリーニングによる遺伝学的な解析により、PI(4,5)P2中のPUFA欠乏によって、アクチン骨格に異常が生じることが示唆された。さらに、詳細な解析により、PI中のPUFAとPIP2、及びPIP2のエフェクターとなるアクチン関連分子との遺伝学的相互作用も見出しており、PI中のPUFAによるアクチン骨格の制御を分子レベルで明らかにしつつある。また、興味深い事に、PIのPUFAの種類と表現型の関連を調べる目的で、脂肪酸回復実験を行なった結果、アクチン骨格の制御には、PI中の特定の脂肪酸構造が必要である事が示唆された。
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Research Products
(3 results)