2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学発光・蛍光イメージング技法を用いた昆虫体内時計リズム形成プロセスの解明
Project/Area Number |
09J10825
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森岡 絵里 富山大学, 大学院・生命融合科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞内pHイメージング / キイロショウジョウバエ / 体内時計ニューロン |
Research Abstract |
本研究は、培養技術と化学発光・蛍光イメージング技法を駆使して、まだ詳細が明らかとなっていないキイロショウジョウバエの時計細胞の機能解析を試み、その全容を明らかにすることを目的としている。初年度の蛍光Ca^<2+>センサーYellow cameleon 2.1を用いたCa^<2+>イメージング実験結果から、キイロショウジョウバエ体内時計ペースメーカーニューロン(LNs)の細胞内pHが約24時間周期で変動しているという可能性が示唆された。この仮説を検証するために、本年度には、まず、pH感受性蛍光センサーdeGFP4を発現するトランスジェニックバエ作出に取り組み、LNs特異的にdeGFP4を発現する概日光受容器変異体(cry^b)バックグラウンド系統(Pdf-gal4;USA-deGFP4;cry^b)の作出に成功した。次に、作出した系統を用いて、高カリウム・ナイジェリシン法による細胞内pHキャリブレーションを行った結果、細胞内pH変化に伴う465nmおよび510nm蛍光輝度の逆方向への変化が観察され、作出した系統において、deGFP4がpHセンサーとして正常に機能していることが確認された。そこで次に、この系統の中枢神経系を用いて組織培養を作成し、長期にわたるpHイメージング実験を行った。その結果、LNsの細胞内pHに、pH値6.5-7.7の範囲における、振幅約0.5の概日振動が存在することが示された。これは、体内時計細胞に概日性細胞内pH振動が存在することを明らかにした初めての研究成果である。現在、このLNsにおけるpH振動が、活動リズムとどのような関連性を持つのかを調べるために、LNs特異的に細胞内pHホメオスタシスが欠損した変異体の概日行動に変化が生じるかどうかの検証に取り組んでいる。
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