2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリニオブ酸系鉛フリー圧電セラミックスの欠陥構造と電気物性
Project/Area Number |
09J10906
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松堂 人士 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鉛フリー / 圧電体 / ニオブ系 / 欠陥 / 脱分極 / 電気絶縁性 / 熱刺激電流測定 / 焦電 |
Research Abstract |
環境低負荷な鉛フリー圧電材料の1つであるアルカリニオブ酸系素材(ニオブ系)は、比較的高い圧電性を示すものの、焼成プロセスや雰囲気等により電気絶縁性および圧電性が変化しやすい問題がある。そこで本研究では、高絶縁性および圧電性を有するニオブ系の材料設計指針を明確にするため、その電気伝導性および脱分極挙動について詳しく調べた。 本年度は、大気圧下における固相反応法(通常のセラミックス合成法)により焼成したニオブ系圧電セラミックスにおいて、高電圧により圧電活性な分極状態から脱分極状態となる過程に注目して研究を実施した。具体的には、分極したニオブ系圧電セラミックスを一定速度で昇温し、試料表而から発生する電流を測定する「熱刺激電流測定」、および同速度で昇温しつつ圧電体を外部から交流電場で振動させてインピーダンスを測定する「圧電共振測定」を実施した。その結果、熱刺激電流測定では焦電効果から予想される値よりも十数倍大きい電流発生が観察された。この電流量から計算されるニオブ系セラミックスの自発分極最と異なること、さらに圧電共振測定と比較した結果、圧電特性の変化挙動と一致しないことから、大きな熱刺激電流発生は試料中に存在する結晶粒界面やイオン欠陥にチャージされた電荷が解放される脱分極現象であると考察した。以上の結果から、分極状態のニオブ系セラミックスが脱分極する過程を精査すれば、ニオブ系材料中に存在する欠陥構造と特性劣化現象について推定可能であることが期待出来る結果を得た。
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Research Products
(6 results)