2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリニオブ酸系鉛フリー圧電セラミックスの欠陥構造と電気物性
Project/Area Number |
09J10906
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松堂 人士 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鉛フリー / 圧電体 / ニオブ系 / 欠陥 / 脱分極 / 電気絶縁性 / 熱刺激電流測定 / 焦電 |
Research Abstract |
アルカリニオブ酸系素材(ニオブ系)は、高いキュリー温度を有する無鉛圧電材料であり、優れた圧電性を示す。しかし焼成プロセス中にアルカリ成分が気散しやすく、電気絶縁性および圧電性が劣化しやすい問題がある。本研究は、高絶縁性および圧電性を有するニオブ系の材料設計指針を明確にするため、その電気伝導性および脱分極挙動について詳しく調べた。 本年度は、ニオブ系圧電セラミックスに遷移金属元素Mnを添加した場合の脱分極現象を熱刺激脱分極電流(TSDC)法により評価し、助剤添加による脱分極温度の変化を調べた。助剤を添加しない純粋なニオブ酸ナトリウムカリウム(Na_<0.5>K_<0.5>NbO_3)組成において、焦電効果から予想される自発分極値よりも十数倍大きい脱分極電流が発生する様子が確認されていたが、Mn添加により脱分極電流量が増大した。このことからMnがアクセプタとして働き、セラミックス中の酸素欠陥量を増大させていることが明らかとなった。さらに一定の微小電位差(0.5V)下におけるTSDC測定により、Mn添加によってニオブ系の脱分極温度が100℃低温側ヘシフトすることが確認された。すなわちMnが固溶することにより、酸素欠陥がニオブ系中を移動しやすくなり、その結果、ニオブ系圧電体中の強誘電性ドメイン壁が移動しやすくなることによって脱分極が進行することが明らかとなった。 TSDC法により、ニオブ系の脱分極現象は酸素欠陥の熱拡散によって生じていることが明らかとなり、助剤添加によって著しく変化することが確認された。
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Research Products
(11 results)