2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10918
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
沈 熙燦 Ritsumeikan University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 朝鮮史編修会 / 近代歴史学 / 実証主義 / 今西龍 |
Research Abstract |
昨年度は、日本における近代歴史学の胎動とその足跡をつかまえるために、水戸藩の領地であった水戸に足を運んで『大日本史』の原板をはじめ、弘道館などを見学した。その後、帝国日本のアジア進出と同時に進行された「東洋史学」の発展過程を追究することに取り組み、東京所在の「東洋文庫」を訪問し、戦前の朝鮮語学者であり、植民地朝鮮における史資料の収集にも尽力した前間恭作に関する様々の資料、あるいは戦後の日本における朝鮮史研究の先駆者であった旗田巍の文章が手に入れるなど、多くの成果をあげることができた。 このようにして、「朝鮮史編修会」の前史および同時代の史学界の動きなどの把握に専念しつつ、「朝鮮史編修会」における歴史書編纂作業の経過と特徴の叙述のみに止まってしまった自分の修士論文を深めるため、本格的な人物研究に踏みこんだ。その最初の対象として選んだのが、京都帝大において朝鮮学関連分野ではじめて博士号をとった人であり、「朝鮮史編修会」の歴史編纂作業においても中核的な役割を担当していた今西龍である。今西龍関連史料を探すため、韓国のソウルの近郊にある国史編纂委員会や、晋州所在の慶尚大学校文泉閣研究所などで史料調査を行った。また国内調査としては、天理大学校図書館今西文庫、京都大学図書館などを中心として史料調査活動を行った。 その結果として、去年一〇月には東北大学で催された「日本思想史学会大会」にパネルとして参加、報告を行ったし、一一月には大阪で行われた「朝鮮史研究会」でも報告の機会をえた。これらの成果は今年の五月に刊行される『季刊日本思想史』特集号に論文として掲載される予定である。また昨年の九月と今年の三月には、各々韓国全北大学、中国広東外貿外語大学との合同研究会でも報告を行った。
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Research Products
(4 results)