2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10943
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 秀行 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TGFβ / IL-6 / JAK / 抑制性T細胞 / Th17 / シグナル伝達 / アトピー性皮膚炎 / 阻害剤 |
Research Abstract |
消化管においては細菌排除に必要な免疫と食物に対する寛容の相反する二つの作用が同時に存在する。この仕組みを維持するのが新規ヘルパーT細胞サブセットTh17と誘導型抑制性T細胞iTregと考えられる。我々はこの二つのヘルパーT細胞の分化制御機構の解明を目指している。ヘルパーT細胞の分化を決定するサイトカインはJAKチロシンキナーゼを活性化しそれぞれ特徴的なSTATを活性化する。Th17の誘導にはJAK1とSTAT3が重要と考えられる。本年度はファイザー社のCP-690550およびMerk社のpyridone6を中心にJAK阻害のヘルパーT細胞分化に及ぼす影響を調査した。マウス脾臓ナイーブT細胞をTh1, Th2, Th17、iTreg条件下で分化誘導を行った。CP-690550およびpyridone6はSTAT1やSTAT5, STAT6を抑制する濃度ではSTAT3はほとんど抑制しなかった。その結果Th1, Th2分化は抑制するもののTh17分化は促進した。またFoxp3陽性の抑制性T細胞(Treg)の分化は抑制する。これは両化合物の有効濃度ではSTAT1やSTAT5の抑制のためにTh17分化が促進、Tregが抑制されるためと推察される。 つぎにこの効果をマウスアトピー性皮膚炎モデルを自然発症するNC/Ngaマウスを用いて検討した。Pyridone6投与群でIL-13の低下とIL-17の増加が認められた。したがって個体レベルでもJAK阻害剤はTh17を促進することが証明された。そこでIL-17を皮下投与した場合の治療効果を検討した。IL-17はアトピー性皮膚炎を抑制する傾向が認められた。よってTh2型疾患であるアレルギー性皮膚炎に関してはTh17を抑制しないpyridone6のほうが有効である可能性が示唆された。
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