2010 Fiscal Year Annual Research Report
段階的な意思集約を伴う政治経済制度のためのメカニズム・デザイン論
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09J10992
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安達 剛 早稲田大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | social welfare orderings / noninterference / leximin social welfare / utilitarian social welfare / common agency game / general preference / truthful equilibrium / coalition proof Nash equilibrium |
Research Abstract |
政策の望ましさを計る尺度として社会的厚生順序(関数)は政治経済学において重要な役割を担っているが、具体的にどのような社会的厚生順序が規範的に可能で、またモデルによる分析ができるかを解明することは、議論すべき社会的選択関数のクラスを定める意味でメカニズムデザイン上重要である。Mariotti & Veneziani (2009)は"限定された"非介入性(non interference)の公理を用いてLeximin順序の特徴づけを行っているが、そこで彼らが非介入性に対して行なった限定は、非介入性のあり方を定める一つの可能性として位置付けられる。そこで報告者は《非介入性の限定の仕方》を一般に定式化することで、非介入性を用いて特徴づけられる順序の全ての可能性を調べた。その結果、(i)Leximinの他に功利主義、Leximaxの特徴づけが可能であるが、(ii)逆にそれ以外の順序は必ず特徴づけできないことが分かった。このことは、以上の3つの順序以外の可能性がないという否定的な含意と同時に、これらの順序の重要性を改めて示している。次に、一般的な社会的厚生順序の下、それに関心を持つ政策決定者が行う実際の政策決定過程を分析するため、(準線形選好を仮定しない)一般選好下のcommon agencyモデルにおける均衡の精緻化の研究を行った。これまで社会的厚生順序が功利主義的(準線形選好)である場合には、truth equilibriumがcoalition-proof Nash equilibrium (CPNE)との同値性から望ましい精緻化として分析に用いられてきたが、本研究の結果、一般選好下ではこの同値性が成立せず、代わりに政策担当者に働きかける利益団体の数が2団体ならばパレート支配的なtruth equilibriumが必ずCPNEとなり望ましい精緻化と言えることが分かった。
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Research Products
(3 results)