2010 Fiscal Year Annual Research Report
キクBウイルスのウイルスベクター構築とアブラムシ伝搬因子の解明
Project/Area Number |
09J11020
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大川 篤史 東京農工大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キクBウイルス / ウイルスベクター / アブラムシ伝搬因子 / カーラウイルス / キク |
Research Abstract |
キクはわが国で花卉生産額第1位であり、世界でも生産は多いが、キクへの遺伝子導入によるキク遺伝子の機能解明は他の植物種と比べて極めて遅れている。そこで本研究では、キクに潜在感染するカーラウイルス属のキクBウイルス(CVB)の分子生物学的性状を明らかにし、その感染性全長cDNAクローンを改変し、キクにおいて外来遺伝子の発現あるいは内在遺伝子の制御ができるウイルスベクターを構築することを目的とした。またウイルスベクター化した際、アブラムシによる遺伝子組み換えウイルスの環境への漏洩を防ぐため、CVBのアブラムシ伝搬因子を解明することを第二の目的とした。本年度も初年度に引き続き、カーラウイルス属に特徴的なP12遺伝子に注目してその機能の詳細について研究を行った。P12を異種ウイルスベクターから発現させた際に誘導されるえそ症状の原因を調査する過程で、P12はウイルスの濃度に影響を与えず、またRNAサイレンシングのサプレッサー活性も有しないことが明らかとなった。またP12の欠損変異体は正常にアブラムシ伝搬されることが確認されたことから、P12はアブラムシ伝搬因子でもないことが示された。以上の成果を日本植物病理学会大会で発表し、平成22年度学生優秀発表賞を受賞した。続いてCVBのウイルスベクター化を試みた。様々な大きさのサブゲノミックプロモーターをCVBゲノムに挿入し、植物に接種したところ、感染が確認された。しかしながら外来遺伝子としてGFP遺伝子を挿入すると、それらの感染性は失われた。またGFPのN末端34アミノ酸に相当する配列を挿入しても感染性は失われた。したがってCVBではサブゲノミックプロモーターを利用したウイルスベクター化は困難であると考えられた。
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Research Products
(2 results)