2010 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類のミトコンドリア両性遺伝における精子mtDNA保持メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J40012
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐野 菜採 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | ムラサキイガイ / ミトコンドリア / 両性遺伝 / 精子形成 / 始原生殖細胞 / リアルタイムPCR / SNP解析 / FACS解析 |
Research Abstract |
ムラサキイガイのミトコンドリア両性遺伝において雄型ミトコンドリアDNA(mtDNA)が保持されるメカニズムを解明するために、ムラサキイガイの精巣より比重分離およびセルソーターを用いて精子形成過程の各段階の細胞を、核相を指標に分取し、DNAを抽出し、雄型mtDNA量をリアルタイムPCRにより定量した。さらに、ミトコンドリア膜を染色し、精子形成時の変化をFACS解析した。その結果、雄型mtDNAおよびミトコンドリア量が精子形成過程で維持されることが明らかとなった。これは、ミトコンドリアが母系遺伝する哺乳類等における従来の知見とは全く異なる結果であった。 また、ムラサキイガイの子の性比は母親により決まることが知られているが、人工交配後、子が雄になる交配と雌になる交配における初期発生中の雄型mtDNA量の変化をリアルタイムPCRにより定量した。その結果、雌になる交配では受精24時間後には雄型mtDNAが減少したのに対し、雄になる交配では維持されていることが明らかになった。 この2つの研究結果から、ムラサキイガイのミトコンドリア両性遺伝において雄型mtDNAが受精前後で保持されることが示唆され、DUIで雄型mtDNAが保持されるメカニズムの解明に迫る知見を得ることができた。 さらに、雄型mtDNAが生殖巣および体細胞で、父母どちら由来であるかをムラサキイガイの人工交配を行いSNP解析により明らかにする研究を行ない、生殖巣に父由来、体細胞には母由来の雄型mtDNAが存在する傾向があることを明らかにした。これらの結果は、雄型mtDNAの始原生殖細胞の形成への関与を示唆している。
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Research Products
(4 results)