2012 Fiscal Year Annual Research Report
窒素固定エンドファイトの感染ならびに窒素固定メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J40041
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
塔野岡 純子 (寺門 純子) 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター・土壌肥料研究領域, 特別研究員(RPD)
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Keywords | エンドファイト / 窒素固定 / サツマイモ / Bradyrhizobium |
Research Abstract |
私達は、これまでにサツマイモ体内から窒素固定エンドファイト(Bradyrhizobiumsp. AT1)を分離してきた。本年度は、サツマイモを長期間栽培し、B. sp. AT1の接種効果を調査した。 [人工気象機内における接種試験] サツマイモ幼植物の地下部にB. sp. AT1を1カ月おきに接種した。無窒素条件下で約5ヶ月間栽培した結果、接種区のサツマイモにおいて約17%の新鮮重の増加が認められた。また、アセチレン還元法および重窒素希釈法により、接種区において窒素固定活性および窒素固定の寄与が認められた。 [圃場における接種試験] 6月下旬に、コンクリート枠圃場(N:5kg/10a)にサツマイモ(ベニアズマ、アヤムラサキ、高系14号)を移植した。接種区の苗は、移植前日に切り口をB. sp. AT1の懸濁液に浸し、移植後は1カ月おきに菌液を葉面散布した。11月上旬に生育調査を行った結果、アヤムラサキ接種区において、地上部および塊根の著しい生育促進が認められた。一方、ベニアズマおよび高系14号では接種区における有意な生育促進が認められなかった。さらに、圃場栽培したサツマイモ抽出液中でB. sp. AT1を培養した結果、アヤムラサキ地上部の抽出液中で最も高い窒素固定活性が認められた。 以上の結果から、B. sp. AT1の窒素固定活性は、サツマイモ内成分の違いによって異なることが示唆された。また、人工気象機内において無窒素条件下で栽培したベニアズマでは、B. sp. AT1接種による生育促進効果が認められたことから、施肥窒素量の違いがB. sp. AT1の窒素固定活性を制御している可能性も示唆された。これらの成果を応用することにより、今後、非マメ科作物においても窒素固定エンドファイトを利用し、抵投入の農業を実現することが可能になると考える。
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