2011 Fiscal Year Annual Research Report
メディア・教育機関における摂食障害の予防―社会的予防の医療社会学
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09J40049
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中村 英代 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員RPD
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Keywords | 摂食障害 / 過食症 / 拒食症 / 回復 / 予防 |
Research Abstract |
報告者は、採択期間を通じて、摂食障害からの回復の解明と予防研究を行ってきた。そして、採用第2年度目には、優秀若手研究者海外派遣事業に採択され、約1年間、客員研究員(Honorary Research Associateinthe Department of Sociology)として香港大学で研究を行った。そして、採用第3年目にあたる本年度は、これまでの研究成果をまとめあげることに力を入れた。 採用第3年度目の具体的な成果は、以下である。まず第1に、単著を出版した(中村英代,2011『摂食障害の語り-<回復>の臨床社会学』新曜社)。本書は、特別研究員 (DC2/RPD) としてのこれまでの研究の集大成といえる。『摂食障害の語り-<回復>の臨床社会学』は、回復についての考察が立ち遅れている日本で、回復者の視点から回復について論じた初めての試みといえる。本書の出版によって、日本の摂食障害臨床や摂食障害解釈に大きく貢献できたと考える。 第2に、英語論文を完成させ、査読付きの雑誌に掲載した("Overcoming Bulimia Nervosa: A Qualitative Study of Recoveryin Japan")。本論文は、採用第2年度目の、香港大学での在外研究の成果をまとめたもとして位置づけられる。 第3に、学会報告として、国内で2つの報告を行った((1)日本摂食障害学会「摂食障害回復支援の現在-異なる支援的立場の相互理解に向けて」、(2)日本社会学会「回復の語られ方-摂食障害にみる『治療』『癒し』『肯定』『解消』のナラティヴ」)。二つの学会では、それぞれ、摂食障害の支援の在り方について社会学の視点から考察・提言をしたものである。これらの発表は、研究で得た知見を、他の専門家や臨床の領域に伝えていく活動として、位置づけられる。
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Research Products
(5 results)