2011 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ熱帯雨林における焼畑農耕の生態基盤―その歴史的形成過程と現代的展開―
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09J40058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安岡 かがり (四方 かがり) 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | アフリカ / 熱帯雨林 / 焼畑 / アグロフォレストリー / カカオ / バナナ / 商品作物 / カメルーン |
Research Abstract |
本研究の目的は,カメルーン東南部の熱帯雨林帯でおこなわれている焼畑農耕の生態基盤に焦点をあてながら,マクロな政治・経済状況がその生態基盤にどのような影響を及ぼしているのかということについて,近年,調査地域において現金収入源として拡大しつつあるカカオ栽培の事例をもとに明らかにすることである. 本年度,平成23年4月より平成24年1月の期間は,育児のために研究活動を中断したが,可能な範囲において研究活動をすすめた.これまでに収集したデータの整理,及び文献研究をおこないながら論文の執筆にとりくみ,その成果を学位論文としてまとめ,平成23年11月に京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科に提出し,平成24年3月に京都大学博士(地域研究)の学位を取得した. 学位論文「アフリカ熱帯雨林における焼畑の潜在力-自給作物生産と商品作物生産の両立にかんする農業生態学的研究-」では,カメルーン東南部の熱帯雨林地域において焼畑を主たる生業としているバンガンドゥ社会を対象とし,バナナを中心とする自給作物生産とカカオを中心とする商品作物生産が,どのようなかたちでバンガンドゥの生活のなかに共在しているのかを論じた,両者の共在の基盤には,焼畑が本来もつ人と森との関係を維持しつづけているバンガンドゥの農業実践があることを実証的に示し,それをもって焼畑の潜在力として評価した. 研究活動に復帰した平成24年2月以降は,当初の研究計画にしたがい,フラジス・モンペリエ市において在外研究を開始した.現在は,平成24年5月にモンペリエで開催される第13回国際民族生物学会での発表準備を進めるとともに,学位論文をもとに英語論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度,平成23年4月から平成24年1月の間は,育児のために特別研究員の研究活動を中断していたが,可能な範囲で論文の執筆をすすめ,学位論文を提出し博士の学位を取得することができたため. また,研究活動に復帰した後は,当初の研究計画にしたがい,フランス・モンペリエ市での在外研究に着手することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年2月末までの1年間,モンペリエ市にあるフランス国立科学研究センター・機能=進化生態学研究センター(CNRS-CEFE)に研究員として所属し,研究活動を遂行する予定である.CNRS-CEFE周辺には20近い大学や国立研究機関が集中し,旧フランス領地域を主たる対象として,農業開発,生物多様性と環境等,様々な研究プロジェクトがおこなわれている.アフリカ熱帯雨林地域の農業に関する研究の蓄積も厚く,本研究の分析に必要となる資料や文献が多数得られることが予想される. フランス滞在期間中は,フランス国内の古文書館等において,カメルーンの委任統治地時代に作成された地図,統計資料を収集するとともに,CNRS-CEFE及びCIRAD (Agricultural Researchfor Development)のオフィスにおいて,カカオ栽培や農業支援に関わる文献・報告書の収集と分析を進め,セミナー等をとおして研究成果をまとめることを計画している.
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Research Products
(1 results)