2010 Fiscal Year Annual Research Report
F.メンデルスゾーンと近代的演奏会:その成立と変遷の総合的実証研究
Project/Area Number |
09J40070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小石 かつら 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(RPD)
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Keywords | メンデルスゾーン / 演奏会 / 19世紀 / ドイツ / 出版 / ビアノ / ライプツィヒ / ベルリン |
Research Abstract |
市民社会の台頭とともにあらわれた「近代的演奏会(=入場料収入を前提とし演奏会専用ホールで開催)」の成立と変遷を検証することで、「創造的」と言われる作曲家の創作活動が音楽マーケットと不可分の関係にあることを実証することが研究の目的である。この研究は音楽社会史研究という歴史学的手法を用いつつ、作品研究(分析)も同時におこなう画期的な研究モデルであり、今年度は、6月から1月にかけてドイツ・ライプツィヒ及びベルリンにて、主に以下の3つの点から調査を行った。 1.ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏会プログラムの変遷(18世紀末から20世紀初頭)を調査し、その変容を検討する 2.メンデルスゾーンが創出した新しい作品ジャンル「演奏会用序曲」に注目し、作品と音楽マーケットの関係および音楽史に与えた影響をさぐる 3.メンデルスゾーンの未出版ピアノ作品を調査することで当時の出版状況と創作活動の相互連関を裏付ける その成果としては、 1.について、ライプツィヒ市歴史博物館付属図書館に保存されているプログラムを全てデジタル画像として収集した。 2.では、作曲過程で残された各段階の稿を比較検討し、先行研究で整理未完だった各稿の差異・変遷を解明した。 3.は、ベルリン国立図書館及びライプツィヒ大学付属図書館に保存されている自筆譜を分析する作業で、その結果出版をめざす過程で、内容は同じであるのにタイトルを変更する例が多々あることが明らかとなり、また、そのタイトル変更に淀の法則があることもわかった。これは今後のジャンル研究に重要な意味を持つことになると思われる。
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Research Products
(2 results)