2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗リン脂質抗体症候群にみられる血栓症の臓器特異性に関する研究
Project/Area Number |
09J40106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
アメングルアル・プリエゴ マリア・オルガ Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 抗リン脂質 / 血栓症 |
Research Abstract |
ヒト内皮細胞:LPSとTNFαで4時間内皮細胞を処理したところ、HAOECおよびHUVECでTF,VCAM,E-セレクチンが発現増強した。HAECにくらべてHUVECではTFとIL-6のLPSやTNFによる誘導は強かった(図1)。しかし、LPSによるVCAM-1とEセレクチンの誘導は、HUVECに比べてHAOECで増強していた(順に359、501 vs.84、324倍)。ヒトトロンビンは、TF、VCAM-1、Eセレクチン、IL6を、HAOECおよびHUVECにおいて濃度依存性に誘導したが、この誘導は両者の細胞で著変なかった。モノクローナル抗リン脂質抗体によってはTF,IL6および接着因子の誘導は有意でなかった。ヒトトロンビンはHAOECでTF発現を誘導すると報告されているので、あらかじめ2U/mlのトロンビンで内皮細胞を前処置し、そこにモノクローナル抗リン脂質抗体(EY2C9)を5時間加えた。その結果、HAOECでは一連の分子の発現が誘導されたが、HUVECでは発現は明らかでなく、抗リン脂質抗体による細胞活性化はトロンビンによって増強されるが、それは細胞の種類によって異なる可能性があることが示唆された。PLSCR1はHUVECではLPSによって誘導されたが、スカベンジャーレセプターであるCD36はHAOECでもHUVECでもいかなる刺激によっても発現の増強はみられなかった。 ラット内皮細胞:LPSによるTFの誘導は、RECIVよりもRBMVECのほうが強かった。一方、トロンビンによるTFの発現はRECICのほうが強かった。LPSとトロンビン両者によるIL6の発現は、RBMVECと比べてRECIVが強かった。TNFαによるTFとIL6の発現はこれらの細胞同士では差がなかった。次に、トロンビンの処理(5U/ml、4時間)の有無でPAR-1の発現を検討した。PAR-1のベースラインはRBMVECよりもRECICのほうが高かったが(図2)、トロンビンの処理によっては発現の変化はなかった。モノクローナル抗リン脂質抗体であるEY2C9はRBMVECおよびRECICで軽度にTFを誘導した。APS患者から得られた患者IgGではいずれの細胞でもTFの発現は明らかではなかったし、トロンビンの前処理でも抗リン脂質抗体によるTF発現にはあまり効果がなかった。
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Research Products
(9 results)