2010 Fiscal Year Annual Research Report
カイコを利用したヒト病原性RNAウイルス感染モデルの開発
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09J40175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣内 知子 (藤幸 知子) 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | カイコ / インフルエンザウイルス / レオウイルス / 細胞質多角体病ウイルス / 治療薬 |
Research Abstract |
1.カイコを利用したインフルエンザウイルス感染モデルの開発 本研究ではインフルエンザウイルスのカイコ感染モデル開発の実現可能性について検討した。ウイルスの宿主特異性の問題を克服するために、インフルエンザウイルスの糖タンパク質を汎親和性の水泡性口内炎ウイルスの糖タンパク質(VSV-G)に置換した改変型ウイルスを用いた。本ウイルスをカイコ培養細胞へ接種した結果、ウイルスゲノムに組込まれたgfp遺伝子に由来するmRNAおよびタンパク質の経時的な増加が観察されたことから、カイコ細胞へ改変型インフルエンザウイルスが接着・侵入し、ウイルスゲノム由来の遺伝子発現が起こることが示された。さらに、カイコ幼虫へ本ウイルスを接種した結果、その体内からgfp mRNAが検出されたことから、改変型インフルエンザウイルスのカイコ体内での感染が示唆された。インフルエンザウイルスの感染モデルとして無脊椎動物の利用を初めて提案したのは本研究が初めてである。なお本研究は、東大・医科研の河岡義裕教授、野田岳志特任助教との共同研究として行った。 2.レオウイルスのカイコ感染モデルの確立による抗ウイルス薬評価系の開発 レオウイルスのカイコ感染モデルを開発するため、同科に属する細胞質多角体病ウイルス(CPV)を利用してカイコ幼虫個体でのin vivo感染系を確立した。通常CPVのカイコに対する致死性は低いが、本研究では九大・院農・遺伝子資源開発研究センターに保存されているカイコ(80系統)からCPV感染死を起こす系統を見いだし、治療候補化合物の効果を個体の生死に基づいて評価する方法を確立した。今後は、CPVのin vivo感染系と昨年度に確立したin vitro感染系とを組み合わせて抗ウイルス物質を探索することによってレオウイルス感染症治療化合物が発見されることが期待される。
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Research Products
(3 results)