2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる認知症発症メカニズムの解明と食品による予防
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09J40182
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
永井 雅代 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 老年病研究部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 栄養学 / 神経変性疾患 / 脂質過酸化 / タンパク質凝集 |
Research Abstract |
本研究では神経変性疾患の共通の病理学的特徴である、タンパク質の異常凝集体の形成に酸化ストレス、特に脂質過酸化反応が関与して神経細胞死を引きおこしていることを明らかにし、脂質過酸化反応を食品成分により抑制することで神経変性疾患の発症を予防するための基盤データを得ることを目的としている。アルツハイマー病およびパーキンソン病の凝集体の主要構成タンパク質であるβ-アミロイドまたはα-シヌクレインに対し、ω-3不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)は、in vitroにおいてタンパク質の重合化反応を促進し、凝集体を形成させ、この凝集体構成タンパク質にはDHA酸化物(PRL)による修飾が生じていることを特異的抗体を用いた分析から明らかにした。さらに、無水物を利用したDHA酸化修飾物生成反応においても同様の結果を得ることができた。しかしながら、DHA-α-シヌクレイン混合物のアミロイド形成をチオフラビン法により検出したところ、DHAは濃度依存的に相対蛍光強度(RFU)値を上昇したが、PRL-α-シヌクレイン混合物では反応物のRFU値は上昇しなかった。これらの結果から、DHAによるタンパク質の重合化の過程ではPRLとは異なる中間体が形成されている可能性があることが示唆された。一方、DHAは神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に対して濃度依存的に毒性を示したが、この時の細胞内のPRL修飾タンパク質をELISA法により測定したところ、ミトコンドリア、核・膜画分ではDHA濃度依存的にPRL修飾タンパク質が顕著に増加していた。細胞質画分における増加はわずかであった。この結果から、ミトコンドリア等の細胞膜を構成するDHAの脂質過酸化反応により生成された酸化脂質は、タンパク質に結合し、構造変化をきたすことで細胞傷害を引き起こすことが示された。今後、DHAとともに食品成分を添加することでDHAによるタンパク質凝集および細胞内の脂質過酸化が抑制されるかどうか検討する予定である。
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Research Products
(7 results)