2009 Fiscal Year Annual Research Report
高性能な有機電界効果トランジスタ特性を発現する新規有機半導体材料の開発
Project/Area Number |
09J55192
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
儘田 正史 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機半導体 / トランジスタ / π共役化合物 / X線構造解析 / 複素環 / 有機薄膜 / 有機電子デバイス / ドナーアクセプター |
Research Abstract |
近年、有機電解効果トランジスタ(有機FET)が大きな着目を集めており、高い性能を得るための研究が活発に行われている。本研究では、新規な材料を開発し、それにより高いデバイス特性を得た。 p型ではTTF誘導体をFETデバイスに応用した。特に、TTFビニローグは、TTFに比べ、π共役が長く、より強い分子間相互作用が期待できることから、有機半導体材料として有利であると考えられる。実際に、各種チオフェンユニットを挿入した化合物では、高い移動度を示した。また、二重結合部位にアルキル基を導入可能であり、そのような誘導体の開発にも着手している。 n型材料としては、大気安定な材料が求められているが、新たな有機半導体としてキノン骨格を導入した誘導体を開発した。キノンは、高い電子親和力を持ち、合成が容易であり、様々な誘導体が知られているなどの特徴を有し、大気安定な材料の開発に有利であると考えられる。しかし、これまでに有機半導体として用いられた例はわずかであることから、n型半導体材料としてキノンが有用であるかどうかを評価した。まず、容易に合成可能なアントラキノン骨格を用いた。これは、大気安定性を示さなかったが、高いn型FET特性を示し、キノン類が有機半導体として利用可能であることが分かった。さらに、よりアクセプター性の強いユニットを用いることで、高い移動度に加え、大気安定性を得ることにも成功している。これは、これまでの大気安定n型材料とは異なる種類の骨格に基づいており、有機半導体に対する新たな知見を与えるとともに、キノンの有用性を強調するものである。これらの結果は、今後のn型有機半導体材料開発において役立つものである。実際、ごく最近、別グループからキノンを用いた大気安定な材料の報告もなされており、有機FETの開発を推し進めていることが分かる。
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Research Products
(4 results)