2010 Fiscal Year Annual Research Report
感動詞を利用した中・近世日本語の研究~狂言テクストを主資料として~
Project/Area Number |
09J55272
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
深津 周太 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 指示詞 / 感動詞化 / 再分析 / これ / あれ / アラ系感動詞 |
Research Abstract |
呼びかけ感動詞体系が変遷する動因としての「語彙項目の感動詞化」、殊に「指示詞の感動詞化」という現象に焦点を当てた。具体的に明らかにしたのは以下の二点である。それぞれの意義・重要性とともに記す。 (1)指示詞「これ」の一用法として中世末期に慣用的パタンとして存した[これφ[見よ]]という構文構造が、[コレ][見よ]という二文へと'再分析'されたことで感動詞化したものである。 ⇒【意義・重要性】従来、語誌の問題として重要視されてこなかった感動詞化という現象を、文法変化として捉えなおすことにより、感動詞を文法史研究の枠内へと取り込むことに成功した。 (2)従来、指示詞「あれ」に由来すると考えられてきた感動詞「アレ」は、実際には中世末期に見られる「アラ/ヤラ/ヤレ」の変異として生じたものであるとの可能性を実証的に提示し、〈指示詞⇒感動詞〉という変化の普遍性については再考の余地があるとの見方を示した。 ⇒【意義・重要性】これまで演繹的な観点から捉えられてきた「指示詞の感動詞化」であるが、各ケースを現象として把握し直し、改めて帰納的な結論を下すことの必要性を主張した。
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Research Products
(2 results)