2009 Fiscal Year Annual Research Report
感動詞を利用した中・近世日本語の研究~狂言テクストを主資料として~
Project/Area Number |
09J55272
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
深津 周太 Nagoya University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 感動詞化 / 情態副詞 / 音象徴 / ちょっと / ちと / 意味変化 / 構文的特徴 |
Research Abstract |
本研究の目的は、呼びかけ感動詞体系の歴史的変遷を明らかにすることにある。この変遷を招く動因として、本来具体的意味や構文機能を有する語(動詞・副詞・名詞など)が、感動詞へと変化する現象(以下、感動詞化)が挙げられる。 こうした変化の過程を解明するにあたって、本来その語がもつ構文的機能及び意味を分析しておくことは必須である。本年度の成果は、近世期に感動詞化したと考えられる副詞「ちょっと」が、その前段階である室町末期においていかなる性格を持つ語であるかを解明したことにある。 現代語では、<程度の少なさ>を表す副詞である「ちょっと」であるが、室町期の抄物資料の用例を精査すると、以下のような構文的/意味的特徴を持つことが明らかになる。 (1)「動詞のみを修飾する(構文的特徴) (2)「<尖ったもの>が外へ突き出している様を示す(意味的特徴) このことから当時の「ちょっと」は、【擬態語+と】という語構造をもつ情態副詞であると考えられる。この語が程度副詞へと変化するのは近世以後である。 従来、近代における程度副詞としての「ちょっと」が、同義語である「ちと」やそのヴァリエーションに比して、動詞修飾用法に偏ることが指摘される。これは、本研究の成果である、副詞「ちょっと」の本来の性質によるものであると考えられる。また、「ちょっと」は感動詞化するが、「ちと」はしない。この点についても、「ちょっと」の本来の用法が何らかの形で関係していることが想定される。今後の課題である。
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Research Products
(1 results)