2009 Fiscal Year Annual Research Report
タモロコ属魚類の適応的形態変異をもたらす環境要因と遺伝的基盤に関する研究
Project/Area Number |
09J55282
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柿岡 諒 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 適応進化 / 系統地理 / 外来種 / タモロコ属 |
Research Abstract |
コイ科タモロコ属魚類の形態における適応進化に関する研究を進めるため,本年度は野外集団からの標本採集とその集団遺伝学的解析,およびホンモロコ×タモロコの雑種第2代のサンプリングを主に行った.前者については,それぞれの種や集団がどのような歴史的背景から形成され,現在どのような遺伝的関係にあるのかを解明すること,さらに全国で確認されている非在来集団がどのような起源を持つのかを推定するために行った.このために,本年度は遺伝マーカーとしてミトコンドリア遺伝子の部分塩基配列を用いて集団遺伝学的解析を行った.その結果,タモロコ属のうち,より祖先的であると考えられる河川性のタモロコは側系統的であり,琵琶湖の沖合での生活に適応したと考えられる特異な表現形質を持つホンモロコが派生的に生じたことが示唆された.またタモロコは本州中部周辺を境とする大きく2つに分化した系統に分かれ,それらが混在している地域があることが分かった.また,各地で非在来集団が採集され,それらのタモロコ属魚類は本州中部周辺から移植されたタモロコやホンモロコに起源を持つことが示唆された.後者については,適応的表現形質に関わる遺伝的領域を決定するための量的遺伝子座位(QTL)マッピングに供する目的で行い,表現形質の測定に十分な大きさにまで成長した個体をサンプリングした.また,集団解析やQTLマッピングに供する目的で,マイクロサテライトマーカーの作成を開始した.
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