2010 Fiscal Year Annual Research Report
タモロコ属魚類の適応的形態変異をもたらす環境要因と遺伝的基盤に関する研究
Project/Area Number |
09J55282
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柿岡 諒 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 適応進化 / タモロコ属 / 系統地理 / SNPマーカー |
Research Abstract |
コイ科タモロコ属魚類の形態における適応進化に関する研究を進めるため,本年度は,1)野外集団の系統地理学的解析,2)属内形態多様性と遊泳能力の関連を調べるための実験と解析,3)タモロコとホンモロコの雑種を用いた量的遺伝子座位(QTL)解析を行うための形質測定と遺伝マーカー作成を主に行った.1)については,属内の遺伝的多様性を網羅的に調べるため,新たに本州中部で標本採集を行い,ミトコンドリア遺伝子の塩基配列を用いた系統解析を行った.その結果,深い分岐を示す新たな系統が発見され:た.魚類の遊泳能力には形態が大きく影響することが知られている.また湖沼に進出した集団には河川性の祖先集団に比べ体が細長くなるなど形態の変化が見られる.このように湖沼に進出した魚類では遊泳関連形質に適応的変化が生じることが示唆され,この変化がタモロコ属魚類でもホンモロコに生じたことが考えられた。そこで2)についてタモロコおよびホンモロコの野生個体,タモロコとホンモロコの雑種第2代を用いた瞬発的な遊泳能力に関連する最大遊泳速度および長期的な遊泳能力に関連する持続遊泳速度を測定し,各個体の形態との比較を行った.その結果,最大遊泳速度はタモロコに特徴的な大きな体高と関連があった一方で持続遊泳速度は形態との関連がはっきりせず,生理形質などが関わっていることが示唆された.適応的表現形質に関わる遺伝的領域を決定するため3)について実験を行った.前年度にサンプリングした個体の諸形態を測定し,さらに,高効率なジェノタイピングおよび高密度な連鎖解析を実現するため,次世代シーケンサーを用いた一塩基多型(SNP)マーカーの探索を行った.
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Research Products
(3 results)