2010 Fiscal Year Annual Research Report
極低温電子顕微鏡によるべん毛タイプIII蛋白質輸送装置の構造解析
Project/Area Number |
09J55342
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川本 晃大 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛋白質 / 電子顕微鏡 / トモグラフィー |
Research Abstract |
本研究は、サルモネラ菌のべん毛を研究材料として、蛋白質輸送過程における輸送装置の立体構造および蛋白質間の相互作用を捉えることによって、輸送装置のダイナミックスと効率的なべん毛蛋白質の輸送メカニズムを解明することを目的としている。本年度は、Cリング上でのFliH/FliI複合体の結合部位を、生化学的手法および極低温電子顕微鏡による構造解析を用いて特定した。 前年度の研究結果から、FliH/FliI複合体がCリングの縁もしくは内側に結合していることが明らかとなったが、様々な部位に結合し、数や方向もばらつきがあったため、結合部位の特定には至らなかった。そこで、これまでの遺伝学的・生化学的研究により明らかとなっている、Cリング構成蛋白質FliNがFliH/FliI複合体とFliH-FliN相互作用を介して特異的に結合することに着目し、FliH-FliN蛋白質間相互作用に必須である113番目のバリン残基をSH基があるシステイン残基に置換した変異株を作成した。作成した変異株の基部体を単離精製し、SH基と特異的に反応するマレイミド基で修飾した金粒子を混ぜ合わせることで、結合部位の標識化に成功した。結合した金粒子は数にばらつきがあるものの、基部体Cリングの同一部位に見られたため、高分解能での構造解析が可能な単粒子像構造解析により構造解析を行った。その結果、Cリング縁の内側に金粒子が結合していることが明らかとなった。FliH/FliI複合体の結合部位が明らかになったことで、前年度に得られた電子線トモグラフィーのデータから、結合部位にあるFliH/FliI複合体だけを選別することができ、より詳細な解析を行うことができる。また、この部位以外に結合したFliH/FliI複合体は輸送過程の別の段階での構造を反映しており、今後の輸送装置の構造解析を行う上で重要な足がかりとなることが期待される。
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Research Products
(4 results)