2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J55362
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
當代 光陽 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 相変態 / チタン系合金 / マルテンサイト変態 / 相安定性 / 形状記憶合金 / 前駆現象 |
Research Abstract |
構造材料および機能材料の特性は相変態と密接に関連しており、変態の機構や起源についての理解を深めることは、材料学において重要な研究課題のひとつである。この変態の起源解明に関連する現象として、Ti系合金のフラストレートした状態において出現する物性異常(格子軟化、散漫散乱ならびにツイード組織)と相変態との関係が挙げられ、多くの議論がなされている。しかしながら、未だ明確ではなく、その解明が望まれている。本研究はβ相を母相とするTi系合金を用いて、これらのマルテンサイト変態を抑制した組成において現われるフラストレート状態の物性および構造について調査を行い、フラストレート状態がどのような原因により生じるのかについて明らかにすることを目的としている。本年度はTi-Ni-Fe系合金におけるフラストレートした状態における圧縮試験を行い、その結果、フラストレートした状態より応力誘起R相変態が生じることを明らかにした。さらにこの応力誘起R相変態における熱力学的平衡温度ならびに変態に伴うエントロピー変化を算出した。これらの結果から、本来安定な低温相と母相とのエントロピーの差が非常に小さくなり、変態開始を示すC曲線が長時間側に移行するため、準安定なフラストレートした状態が出現することが理解できた。さらに弾性定数測定を行った結果、圧縮試験の結果とよい一致を示し、また、フラストレートした状態では格子軟化が生じていることが明らかとなった。このとき、C_<44>とC'の値が同時に軟化を示すことにより、ナノスケールのドメイン状組織が現れたと考えられる。
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Research Products
(8 results)