Research Abstract |
本研究では,高度な細胞機能解析のためのキーデバイスとして,マイクロニードル搭載型バイオプローブを実現し,その性能を評価することを目的としている. 本年度は,研究課題であるバイオプローブの作製について,これまでに確立したシリコン(Si)ウエハの接合技術や不要な酸化シリコン膜を除去するプロセスなどの技術を全体的に最適化することで,プロトタイプの作製を実現した.さらに,原子間力顕微鏡(AFM)での計測時に問題点となった酸化シリコン製マイクロニードル根元部分の機械強度を,実験と有限要素法(FEM)によるシミュレーションにより評価し,補強のためにSi構造体をニードル根元部分に高精度に形成するプロセスを新規に開発した.その結果,作製したプローブプロトタイプによって,AFMの計測画像が取得できることを実証し,提案するデバイスの実用化の可能性を示すことができた.また,AFMの基本計測性能の向上として,集束イオンビーム加工を用いることでマイクロニードルの目標先端形状(<20nm)を達成し,さらに,プローブチップの機械的振動特性を明らかにすることでAFMの計測性能への影響を評価し,AFM計測画像の改善を行うことを可能とした.本プローブ特有の機能であるマイクロニードルの性能に関する基礎的検討としては,マイクロニードル先端からの液体吐出現象を実験とコンピュータシミュレーションによる解析により明らかにし,微小領域における液体の吐出挙動を明らかにした. 今後は,実際の細胞を用いた実験・評価を行い,プロトタイプの総合的な最適化を行いながら,最終的なマイクロニードル搭載型バイオプローブを実現する.
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