2009 Fiscal Year Annual Research Report
XBP1 mRNAスプライシングに関わる因子の探索とそのスプライシング機構の解明
Project/Area Number |
09J55502
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
新谷 紗代子 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生化学 / 分子生物学 / 小胞体ストレス応答 / mRNAスプライシング |
Research Abstract |
分泌タンパク質の膜輸送の起点となる小胞体に不完全なおりたたみ状態のタンパク質が蓄積すると(この状態を「小胞体ストレス」と呼ぶ)、細胞に様々な障害をもたらす。そこで細胞はこの状態を感知し、これに対処するための応答経路を発達させてきた。ほ乳動物では、小胞体ストレス応答の一環として、転写因子XBP1の前駆体mRNAがスプライソソーム非依存的に、細胞質にてスプライシングを受ける。しかし、このスプライシングに関する細かな分子機構、特にその連結反応の仕組みは不明である。その理由としては、ほ乳動物細胞質中で働くRNA ligase活性物質が発見されていない事があげられる。そこで、本研究では、まずこの過程に関与するRNA ligaseを同定し、その性質を解析することにより、XBP1mRNAスプライシングの分子機構を明らかにすることを目的としている。当研究室では、in vitroにおいてXBP1mRNAスプライシング反応の再構成に成功している。そこで、XBP1mRNAスプライシングに関わるRNA ligaseの同定を、この再構成系をもちいたスプライシング活性測定系とカラムクロマトグラフィーによる精製を組み合わせて用いることにより進めている。現在、様々な生物種からRNA ligaseが報告されているが、現時点においてほ乳動物細胞質中で働くRNA ligaseは発見されていない。よって本研究において同定される酵素は、ほ乳動物細胞質中におけるRNA ligaseとして初の報告になると期待される。更にXBP1を介した応答経路は、真核生物に保存され、マウスの生存に必須であることから、この応答経路に関連する新規因子の発見は本分野にとって大きな影響を与えると考えている。
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