2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代京都の都市社会構造とその歴史的展開に関する研究
Project/Area Number |
09J55512
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤井 正太 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 京都 / 近代都市 / 都市社会構造 / 町共同体 / 社会=空間 / 分節構造 / 近世都市 / 西陣 |
Research Abstract |
本課題は、これまで政治史・行政的視点から論じられてきた近代都市史の分野において、京都を主たるフィールドに、一次史料の綿密な分析に立脚しつつ、都市地域社会の実態、及び諸階層の社会的諸関係の把握を通じて、近代都市社会を構造的に把握することを目的としている。 本年度は、まず、これまでの研究成果として、近世~近代京都における町共同体を軸とする都市構造の展開に関する報告を行った。これまで自身が行ってきた近代町共同体の構造分析、及び近世都市史研究における成果をベースに、居付家持(町内居住の土地所有者)を中核とする町の構造が、近世中後期~大正中後期京都の都市構造の基底にあった、及び大正中後期以降にそうした構造が動揺し、再編することを指摘した。以上により、近世~近代京都における都市構造の歴史的展開に関する大枠をスケッチした。また、近代京都における町共同体の構造に関する論文を発表した。ここでは、西陣地域の妙蓮寺前町を具体的な素材とし、その社会=空間的特質、町運営・財政の体制について検討した。この検討を通じて、居付家持(町内居住の土地所有者)を中核とする近世以来の構造を強固に保持する近代京都の町共同体の特質に関する基礎的理解を示した。さらに、近世~近代移行期の都市地域社会の動向を検討する素材として、町有文書を中心に史料を収集し、そのうち特に、幕末期京都における施行に関する史料(『仁風集覧』)の翻刻と読解を進めた。来年度以降も引き続き分析を進める予定である。 これらの分析と合わせて、近代・近世都市史を中心とする文献を収集し、先行研究の整理を進めた。本年度は特に、近世都市社会~近代都市社会への展開・移行という側面に着目して読み込み・整理を行った。来年度以降も引き続き先行研究の整理を進めていく。
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Research Products
(2 results)