2009 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶と高脂血症治療薬の薬物動態学的および薬力学的相互作用の基礎及び臨床研究
Project/Area Number |
09J55522
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三坂 眞元 University of Shizuoka, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | カテキン / シンバスタチン / 薬物相互作用 / CYP3A |
Research Abstract |
緑茶に含まれるカテキン類と医薬品との相互作用に関するエビデンス構築の一環として、生体内において主にCYP3Aで代謝されるシンバスタチンの体内動態及び薬効に及ぼすカテキン類の影響を、基礎及び臨床研究により評価することを目的とした。本年度はまず、UPLC/MS及びLC/MS/MSを用いてカテキン類(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート)ならびにシンバスタチンとその活性代謝物シンバスタチン酸の測定法を確立し、ヒト及びラット血漿中濃度の迅速かつ高感度な定量が可能であることを確認した。ラットに緑茶抽出物(GTE)を経口投与後カテキン類の血中濃度推移を評価したところ、ガレート基を有するカテキンは生体内で速やかに加水分解され血中より消失することが明らかとなり、経口クリアランスはヒトと比較し約20倍高いことが示された。またGTE単回及び反復投与によりシンバスタチンならびにシンバスタチン酸のAUC及び最高血漿中濃度はいずれも有意に上昇した。その一方、シンバスタチンの消失半減期は変動しなかったことからGTEは主にシンバスタチンの吸収に影響を及ぼすことが示唆された。また、ラット肝及び小腸ミクロソームにおいてGTEはCYP3Aの典型的基質であるミダゾラムの1'-水酸化反応を抑制することが観察された。しかしながら、ヒト肝ミクロソームではGTEによるシンバスタチンの代謝阻害は認められなかった。以上より、ラットにおいてカテキン類がシンバスタチンの体内動態を変動させることが示され、その機序の一つとして吸収過程におけるCYP3A阻害の関与が示唆されたが、ヒトCYP3Aに対しては阻害活性を持たないことも示唆され、今後臨床試験を含めたさらなる検討が必要と考えられた。
|
Research Products
(2 results)