2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ心筋NADH-ユビキノン酸化還元酵素の2次元結晶化と電子線構造解析
Project/Area Number |
09J55532
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
天野 聡子 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 2次元結晶 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
NADH-ユビキノン酸化還元酵素(以下複合体I)は、ミトコンドリア呼吸鎖最上流部に位置し、NADHからユビキノン(Q_<10>)へと電子を伝達すると共に、膜間腔にプロトンを能動輸送する。本酵素の反応機構解明には酵素全体の原子レベルの立体構造が必須であるが、現在までに菌体由来酵素の親水部のみの3.1Å分解能でのX線立体構造しか得られていない。近年、膜タンパク質の2Å以上の高分解能構造解析は、X線結晶構造解析だけでなく電子線結晶構造解析からも報告されている。本研究は、良質な2次元結晶から、複合体Iの全立体構造を電子線構造解析により明らかにすることを目的とした。これまでに得られている2次元膜は重層しやすく、高分解能回折データを得るに十分な結晶面積とり性が得られていなかった。そこで本年度は、規則性の良い配列を持った単層結晶を再現性良く作製できる結晶化条件の検討を行った。 コレステロールを添加すると脂質膜の流動性が低下するため、ホスファチジルコリン(PC)と混合して用いて、平面の再構成膜が得られ易く、酵素配列の歪みも軽減されないか検討した。しかし、コレステロールの添加効果は認められなかった。脂質を溶解する界面活性剤の種類によって、PCの溶解度や透析による界面活性剤の除去速度が変化するため、21種類の界面活性剤について検討した。その中で、コール酸Naを用いると単層膜一面に酵素配列が観察された。さらに、コール酸Naを用いて溶解された脂質が添加された精製標品は、活性が上昇し、全ての標品において2次元結晶が形成されるようになった。また、結晶化条件の検討と並行して、電子線回折データ収集のために、極低温条件下での無染色凍結試料(氷包埋試料)の調製法の検討を開始し、一応氷包埋試料においても複合体Iの2次元結晶由来の回折点を得ることに成功した。
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Research Products
(1 results)