2009 Fiscal Year Annual Research Report
ARBパルス投与による慢性腎臓病退行治療開発とメタボロミクス技術を用いた臨床応用
Project/Area Number |
09J55542
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 香 Keio University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 糸球体硬化 / マトリックスメタロプロテアーゼ / アンジオテンシン受容体拮抗薬 / メタボローム解析 / 慢性腎臓病(CKD) |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)の原因である糸球体硬化は不可逆性の病態と考えられているが、その退縮をひき起こすことができれば医学的意義は大きい。最近我々は、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)高用量一過性投与が高血圧の退行に有効であると報告した(Hypertension,2009)。今回の実験では、ARB高用量投与が糸球体硬化病変に与える影響とその機序を検討した。マウスのアドリアマイシン(ADM)腎症モデルを用いて、ADMによる硬化が確立した時点から各種濃度のARB(カンデサルタン0-50mg/kg/day)を2週間投与すると、蛋白尿の減少および糸球体硬化の改善が得られ、その効果は6カ月以上保持された。Highly sensitive in situ zymographyでは、高用量ARB投与により糸球体MMP-2活性の上昇を認め、更に、ARB高用量投与による糸球体硬化の退縮効果は非特異的MMP阻害剤であるDoxycyclineの併用とMMP-2KOマウスで一部抑制されることが明らかとなった。以上より、ARB高用量一過性投与は既に確立した蛋白尿の減少と糸球体硬化の退縮をもたらすことが示唆され、その機序には糸球体のMMP-2活性の上昇が関与している可能性が示唆された。以上について論文にまとめた。(Hayashi K, et al.Kidney International 2010, in press)今後このような治療が臨床的に有用となるのか否かを検討する必要があると考えられる。また臨床研究については、Agilent CE-TOF/MS法によりstage 1-2のCKD患者の血液・尿の網羅的メタボローム解析を行い、早期のCKDから様々な代謝物の変化が見られることが明らかとなった。現在論文投稿中である。
|
Research Products
(10 results)