2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J55562
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
一方井 祐子 慶應義塾大学, 社会(科)学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | セキセイインコ / つがい関係 / 闘争後親和交渉 / 葛藤調整 / 葛藤解決 / ストレス / 闘争 |
Research Abstract |
平成22年度に引き続き,セキセイインコにおける闘争後親和交渉について調べた.これまで,闘争後に他個体との間で生じる親和交渉(闘争後親稲交渉)は主に霊長類において報告され,社会性哺乳類における葛藤解決行動のひとつとされてきた.霊長類とは系統発生的に異なる社会性鳥類においても闘争後親和交渉が観察されるのであれば,葛藤解決行動は群れ社会という共通の社会基盤による社会的収敏によって生じたものであると考えられる. 本年度は,前年度とは異なる飼育下セキセイインコの群れを対象とし,つがい個体同士に,その協力関係を積極的に維持しようとする動機づけが備わっているのであれば,その関係が弱まるリスクのあるつがい個体同士の闘争の後に,親和交渉が高頻度に見られる(いわゆる「仲直り」)との予測をもとに,平常時と比較することでこれを検証したまた,つがい相手が他個体と闘争し生理的ダメージを被っている場合にも,当該つがい関係が弱まるリスクがあるため,つがい相手への高頻度の親和交渉(「慰め/宥め」)が生じるとの予測をもとに,これを平常時との比較から検証した.シミュレーションを用いて解析した結果,飼育下のセキセイインコの群れでは,闘争の相手がつがい相手であるかどうかに関わらず,闘争後には,つがい相手との間で親和交渉が生じやすくなることが示された. これまで,闘争後親和交渉は霊長類を中心とした社会性哺乳類およびカラス科鳥類の一部でしか報告されておらず,本研究はカラス科以外の鳥類における最初の報告である。本研究の結果は,闘争後親和交渉が,鳥類におけるつがい関係を修復・強化させる機能や,また闘争の当事者であるつがい相手のストレスレベルを低減させる機能を持つ可能性を示すものである.今後は,ストレスホルモンといった生理的指標にも注目し闘争後親和交渉の機能を明らかにすることが必要である.
|
Current Status of Research Progress |
Reason
(研究の最終年度のため記入なし)
|
Strategy for Future Research Activity |
(研究の最終年度のため記入なし)
|
Research Products
(5 results)